東方文化堂から磐越東線と沿線情報の発信を 渡邊伸二さん(小野町)

▼早期退職でUターン

子どものころから鉄道が大好きだった渡邊伸二さんは、出身の小野町に早期退職してUターンしました。新たな挑戦の始まりです。鉄道関連のものなどを扱う古物商を営みながら、通学にも使っていた磐越東線とその沿線に暮らす人々の情報を発信するギャラリー「東方文化堂」を、小野新町谷津作踏切の傍に2020年6月に開きました。

▼大好きだった鉄道をテーマに

 社員として働いていたころから磐越東線に関わる資料を収集していた渡邊さんは独学で編集を学び、「磐越東線ものがたり―全線90年史」を2007年に書きあげました。敷設計画から開業後の歩みをまとめた貴重な資料となっています。渡邊さんがその後に収集したものを加えて、2022年に第2版を出版しました。

▼好きなことを

 「好きなもの、感性のあったものを集め、できることをしている」と話す渡邊さん。東方文化堂を開いてから5年、「踏切の傍に建つこの家は、いつでも気動車を撮ることができる絶好の場所。でも最近は、鉄道より編集やイベントの広報制作などの方が忙しいね」と笑います。

▼想いを形に 最新作は

 それでも、鉄道に対する想いは形となっています。「特別展図録磐越東線最古 小川郷駅舎展」(2024年5月30日発行:非売品)や、「資料集 三春馬車鉄道」(2025年6月28日発行)を制作してきました。

▼磐越東線110周年を記念して

 磐越東線は1915年、平駅から小川郷駅間と郡山駅から小野新町駅までが開通。2年後の1917年に16のトンネルを抜ける小野新町駅・小川郷駅間が開業したことで全線開通となりました。2025年11月には、田村市・小野町それぞれが開業110周年記念イベントの開催を予定しています。東方文化堂は写真や鉄道関連品の出張展示を行います。渡邊さんがこれまで収集した鉄道関連品と沿線の人々の写真を見にぜひ訪ねてみてください。

(2025年9月24日取材S)

■名称 東方文化堂 渡邊伸二さん

■住所 福島県田村郡小野町大字谷津作字下都49-1

■E-mail shinji8011#yahoo.co.jp (”#”を”@”に変更して送信ください)

■URL https://touhoubunka.p-kit.com/page519498.html

写真トップ:自ら撮影した磐越東線とその沿線の写真は、館内にたくさん展示されている。入館料は無料で誰でも利用できるが、忙しい渡邊さんは留守のことも多い。事前連絡をしてからお尋ねください。

写真2:小野新町駅の裏側で、谷津作踏切を渡るとすぐ、看板が目立ちます。窓には沿線の人々の写真や小野町・田村市等のイベント情報が貼られている。

写真3:館内では、渡邊伸二さん制作・編集に関わった冊子が閲覧できる。奥の部屋には、磐越東線開業への歴史資料・写真が展示されている。