▼製造業から農業への転身
田村市船引町移地区-標高約550mの山あいに位置し、昼夜の寒暖差が小さく、気温・湿度が比較的安定している。この自然環境を生かし、地域ブランドを押し出したシイタケ・キクラゲ・マッシュルームの栽培と乾燥加工に取り組むのが、合同会社移ヶ茸(安田悟代表社員)です。
▼将来性を感じた「国産キクラゲ」
安田さんは田村市出身。工業高校を卒業後、「自動車部品メーカーで19年間がむしゃらに働いた」が、体調を崩し、業績向上と引き換えに“燃え尽き症候群”にも陥った。転職を考える中で、地元に所有していた土地を活用したキクラゲ栽培にたどり着く。国産キクラゲは極めて希少で、市場の将来性を感じた安田さんは1年間の農業研修を経て、40年を機に2020年に就農した。
▼運命の再会で強力なパートナーに
当初は「失敗の繰り返しだった」が、転機は、農業機械メーカーでの研修の際に訪れた。高校の同級生で、当時隣町のシイタケ農家に勤めていた佐久間香奈さんとの再会である。二人は「高校時代は一度も話した記憶がない」と笑うが、直売所での販売のサポートしたのをきっかけに、シイタケ栽培の研修経験のない安田さんが、知識・経験が豊富な佐久間さんを熱心に誘い、昨年12月から二人の息の合った共同作業が始まった。
▼飲食店で人気博す県産マッシュルームが
キノコは、和食、洋食、中華の各料理で、風味、食感、栄養価を高める重要な食材で、スーパー、直売所、飲食店などの販売先を自らの足で開拓してきた。安田さんは「私たちの代に、マイタケ、トリュフ、フクロタケを加えて、和洋、中の各料理向けに提供できるキノコを2種類に増やしたい」と、長期的な目標を語る。
▼地域と共存する農福連携の取り組みも
今年から、地元の授産施設に乾燥シイタケの袋詰め作業を施設外就労として委託する農福連携を開始。今後は、収量向上と生産効率化を目的に、大型の設備投資を計画している。安田さんたちの試みは、単なるキノコ栽培にとどまらず、地域資源を生かしたブランドと新しい農業モデルへの挑戦として、注目を集めている。
(2025年10月21日取材M)
■名称:合同会社 移ヶ茸(うつしがたけ)
■住所:田村市船引町北移畦石475
■URL https://www.instagram.com/utsushigatake/
■連絡先: utsushigatake#gmail.com(”#”を”@”に変更して送信ください)
写真トップ:シイタケの菌床を持つ安田さん(右)と佐久間さん(左)。大型で肉厚なシイタケは、同社の売上の8割を占める主力商品。品質向上と並行して、各種データ収集など将来的なAI導入の準備を進めている。

写真2:安田さんが大きな期待を寄せるマッシュルーム。原発事故の景況で県内栽培が途絶えていたが、安田さんが復活させ、2年前から本格栽培に取り組んでいる。2年後までに設備増強で“県内唯一”という同社の強みをさらに強化する計画だ。

写真3:シイタケの出荷準備を行う佐久間さん。農場長として生産現場を統括している。共通の夢を持つ安田さんのサポート役に徹しているが、「後継者を考えながら動いていきたい」と将来を見据える。

