▼「杉沢の大杉」の守りびと
国道349号線を北上し、田村市から二本松市へ入ったところにそびえ立つ国指定天然記念物『杉沢の大杉』をご存じだろうか。大杉の高さは50メートルにもなり、樹齢は600年以上と言われている。地域の人びとから御神木のように大事にされている「杉沢の大杉」のすぐ隣に住む、赤沼英一さんは、いつしか地域の人びとから「杉沢の大杉」の守りびとと言われるようになった。
▼40年間の単身生活を終えて
赤沼さんは、銀行員時代、長い単身生活だった。62歳で仕事を辞め、地元に戻った際、これからは地域の人に喜んでもらえることがしたいと思ったそうだ。第一歩として自宅の1000坪の庭をご夫人と共に四季の花々でいっぱいにした。たくさんの種類の花が咲ほころぶ庭は「杉沢の大杉」と一体化しているため、自宅の庭を「オープンガーデン二本松」と名づけ観光客に無料開放している。
▼430年前の宝探し
赤沼さんが次に行動に移したのが、大好きな杉沢地区の歴史を知ることだった。図書館や役所で過去の文献や資料を集めて、分析し調査したところ、戦国時代に小浜城の出城が築かれていたことが判った。城主は伊達政宗に仕えた大内備前守定綱で、歴史的にも貴重な出城で台松塚舘と呼ばれていた。しかし、どこにあったのか誰に聞いても分からず、まるで宝探しのようだったという。
▼地域を愛する30名のメンバーと共に
苦労の末、探し当てた赤沼さんは、この史跡を残すために行政にかけあって公園とする提案をした。同時に、地権者10名一人ひとりを説得し、了解を得た。高台にある丘の周辺を伐採し、開墾し花畑には80種類植え、さらには芝生を植えた。現在は、11年前に結成した台松塚舘跡保存会30名のメンバーで定期的に草刈りや花を植える活動を行っている。
▼多忙がエネルギーとなっている
オープンガーデン造り、台松塚舘復活とその公園化、さらには新たに竹林作りにと、定年退職してからのほうが忙しい。このバイタリティーは、卓球シニア大会全国優勝経験や、趣味の登山でヒマラヤ山脈5025メートルまで登った体力が源の「スーパー83歳の鉄人」であることは言うまでもない。
(2025年8月20日取材Y)
■名称:杉沢の大杉
■場所:〒964-0302 福島県二本松市杉沢字平
■名称:台松塚舘跡史跡
■場所:〒964-0302 福島県二本松市杉沢江戸内33
写真トップ:きれいに整地され、公園化もされている「杉沢の大杉」は、過去に伐採されそうになった。しかし、赤沼さんと地域の人びとの尽力で、現在は二本松市の管理となっている。荘厳な佇まいは、多くの観光客に是非、観てもらいたい天然記念物である。

写真2:広大な庭で今までの苦労や思い出話を語る赤沼さんと奥様。最近は、竹林作りにも注力している赤沼さん以上に、1000坪ある自宅庭の花々の世話をしている。実は、奥様もロッキー山脈登山経験があり、すごい奥様でした。

写真3:日本百名山のうち、7つの山が見渡せる台松塚舘跡の頂上にある、「希望の鐘」は、鳴らすと幸せになるという。最近は、若いカップルが鐘をつきに訪れるなど、二本松市の新たな観光スポットになっている。

