▼源流の村 鮫川村を1000年先に
鮫川村は、鮫川、阿武隈川、久慈川などの源流部です。他の中山間地域と同じように人口減少がすすみ、将来的に景観や水源の保全が難しくなる可能性があります。そんな中で、鮫川村の資源を将来につないでいきたいという思いを持つ村民9名が集まり「一般社団法人川にさめ」を2025年4月に設立しました。理事の一人小森雅人さんは「活動を通し鮫川の環境の価値、共生していくことの大事さを伝え、1000年先に残る村としてつないでいきたいと考えています。」と話します。
▼自然環境を知るための勉強会
5月に開催した「さめがわ新緑満喫ウォーキング」は、新緑の鹿角平観光牧場で親子を中心に豊かな自然を散策しながらアオジやウグイスなどの春に鳴く鳥、タラの芽や山ぐるみなど木々の生態を観察しました。9月には「村のいきもの探検隊」として、専門家とともに生き物の生態を観察します。10月には「野生生物の素顔を知って、上手く付き合おう!」として、有害鳥獣とされるイノシシやタヌキなどの生態を専門家から学び、どう共生していくかを考える機会とします。その他、専門家や村内の環境学習の担い手を招いた勉強会を開催し、団体内や村内の方との学びの場を作っています。
▼源泉水を味わうために
団体が最も大事にしていることは、「水を味わう」体験です。1000年先に残していきたい水資源を皆さんに知ってもらうために、源流水でコーヒーを入れます。嫌な後味が残らない風味が高い、リッチな味と評判をいただいています。鮫川村のお土産として、直売所「手・まめ・館」で購入できます。
▼地域文化・環境を未来へ引き継ぐ
小森さんたちのテーマは「豊かな自然に寄り添って暮らしてきた村の生活を、改めて見つめなおす」ことです。源流部、森林、水資源を知り、それらを共生の中で守って行く。その活動を、経済活動を通して実現させようとしています。小森さんは「村外の方々とふれあう機会、自然体験機会を作り、人口が減っても持続的に地域文化や環境が守られ、引き継がれていく未来を作りたい」と熱く語ります
(2025年8月28日取材S)
■名称 一般社団法人川にさめ (理事小森雅人さん)
■住所 福島県東白川郡鮫川村赤坂東野蕨ノ草198-24
■連絡先 kawanisame@gmail.com
■電話 090-2075-8993(小森さん)
写真トップ:団体として初めてのイベント「さめがわ新緑満喫ウォーキング」を5月3日(土)に開催。 鹿角平観光牧場に併設するクロスカントリーコースを2時間かけて歩いた。

写真2:「さめがわ新緑満喫ウォーキング村内在住の和紙職人で、自然保護指導員でもある斉須寛一さんが講師を務め、木々や野鳥などについて解説。参加者は熱心に話を聞きながら、新緑の鮫川を楽しんだ。

写真3:10月18日(土)には「有害鳥獣勉強会」開催を予定している。鮫川村でも農家の皆さんを悩ませる獣害。野生動物専門家の観点から、実地で電気牧柵の効果的な設置方法を学びます。参加費有料。問い合わせは、川にさめ事務局へメール、または電話にて。