キッチンカーで発信する田村市の「食の魅力」(田村市)

▼地元米のおいしさを“その場で握って”届ける

田村市の「キッチンカー移住プロジェクト」から4例目として2025年3月にオープンした「キッチンカーむすびめ」(店主・河津宏さん)。田村市産の米「ひとめぼれ」と黒米を使ったおにぎりが、注文を受けてから握ることで、ふんわりとした食感とモチモチした食べ応えで評判を呼んでいる。

▼25年間の会社員生活で積み重なった疑問

千葉県木更津市出身の河津さんは、大手鉄鋼メーカーに25年間勤務していた。しかし仕事は多忙を極め、朝5時に家を出て帰宅は深夜。休日も呼び出しがあり、子どもたちの成長をゆっくり見守る余裕はほとんどなかったという。「一体、何のために働いているのだろう」との思いが積み重なり、2024年4月、長年勤めた会社を退職する決断を下す。

▼福島・田村市への移住と「山」での新生活

第二の人生として選んだのは、かねてから関心のあった田舎暮らしだった。東日本大震災後の復興支援に関わりたいという思いから福島県への移住を本格的に検討する。浜通りを中心に物件を探す中で出合ったのが、田村市滝根地区にある広い庭付きの古民家だった。5人の子どもたちがのびのび暮らせる環境で、山で育った妻も「海より山の方が落ち着く」と背中を押した。

▼地元の「米」に魅了され、家族で歩む起業の道

先輩移住者が作る米の味に感動した河津さんは、「キッチンカー移住プロジェクト」を活用し、おにぎり専門のキッチンカーに挑戦する。もともと料理好きで、家族で運営でき、子どもとの時間も確保できる。河津さんにとって、これまでの働き方を見直した先に見つけた“理想の仕事”だったからだ。

▼キッチンカーから世界へ広がる新たな夢

開業からまもなく1年。初年度の目標を早々に達成するなど、経営は順調に推移している。しかし河津さんの挑戦は、ここで終わらない。「今後は、おにぎりとは異なる新しいキッチンカーにも挑戦したい。そして将来的には、日本のおにぎりを世界に広めていきたい」。家族との時間を取り戻しながら、地域の食の魅力を発信する。 河津さんの挑戦は、田村市からさらに大きく広がろうとしている。        (2026年2月12日取材M)

■名称:キッチンカーむすびめ

■住所:〒963-3601田村市滝根町菅谷字石神116

■URL https://www.instagram.com/foodtruck_musubime/

■連絡先:foodtruck.musubime#gmail.com(”#”を”@”に変更して送信ください)

写真トップ:田村市や郡山市を中心に定期出店を重ねる中で、リピーターを着実に増やしてきた。さらに首都圏のイベントにも積極的に参加し、キッチンカーを通して田村市の米や食の魅力を全国に発信している。

写真2:おにぎりは常時10種類以上。その他、汁物やドリンク、おでんなど、季節に応じて充実したメニューをそろえている。

写真3:田村市には米作りに誇りを持つ農家が多いだけに、中途半端な味では通用しないと考え、オープンまでに100キロ以上の米を使い、試行錯誤を重ねたという。