川内村の『いわなの郷』で働く関孝男さん(44歳)。
関さんが川内村に本格的に移住したのは、2014年6月でした。大学卒業後、出身地(埼玉県)で小学校教師として勤務していましたが、2012年に退職。
翌2013年、被災地支援で訪れた福島で誘いを受け、川内村の仮設店舗で働くようになったことを機に、川内村への移住を決意されました。「川内村へ来たのは、自分を変えたかったことが一番の理由かもしれない」と関さんは当時を振り返ります。「川内村は、縁のあった場所です。今の自分に必要なことを教えてくれているんだと思っています」。
いわなの郷で働く中で、川内村がかつて日本一の生産量を誇った木炭王国だったことを知ります。しかし、すでに生業として炭焼きをしている人は皆無でした。人づてに炭焼きをしていた人を訪ね歩き、師匠と呼ぶにふさわしい方と縁をつなぐことができました。この出会いが関さんに大きな変化をもたらし、炭焼きの作業に夢中になっていったそうです。
でも、「東日本大震災の後、森林の除染は進んではいますが、すべての炭を出荷するまでの状況にはいたっていません。昔ほどではないが、炭の需要はあります。茶道用の炭などは特殊で技術も必要。炭焼きの技術を学びながら、いつか川内の木で炭が作れる時期が来るのを待ちます」と話します。
現在、関さんは、いわなの郷でイワナの養殖管理に励んでいます。産卵からふ化、生育管理と忙しい日々を送っています。3月20日に予定している釣り堀オープンに向け、作業も急ピッチ。夏に向けて、キャンプや釣りなどの体験を通じて川内村に足を運んでもらえるよう、積極的にイベントを開催していく予定だそうです。
「自然豊かで魅力的な川内村でこの先も生きていこうと考えています」と話す笑顔が印象的でした。
関孝男さん
勤務先 いわなの郷(福島県双葉郡川内村字上川内炭焼場516)
徹底した清掃管理をすることで、刺身でも食べられるイワナを提供できる