国際結婚で二本松へ 、
「若い頃、日本大好き、結婚するなら日本人と思っていたの」と話し始めたのは、二本松市東和在住の斉藤マリテスさん。
「まさかここ(二本松市東和)に来るとは思わなかった」と笑います。二人のお子さんはすでに独立して別世帯、地元企業で働きながら90歳を超えた義母への献身的な介護と農業を背負ってきました。忙しい時間の中で、料理教室でフィリピン料理を教えたり、中学生に英語を教えたり、時には通訳と、いくつものボランティアをかけもちして地域の活動にも積極的にかかわっています。
義理の母が「寝たきりになって数年、これ以上は一人では無理と判断し、今年になっておばあさんを介護施設にお願いしたの」。時間的に余裕ができたら、働く時間を長くしよう、地域の人とあれもしよう、これもしたいと頭の中で計画を巡らせたのも束の間、新型コロナ感染予防による自粛が襲いました。
日本に来て32年で一番つらく長い一ヶ月
マリテスさんが勤務しているのは、地元の縫製会社です。介護に要した時間を勤務時間に変更し、バリバリ働こうと思った矢先、勤務先は4月中旬から自粛休業。「資金計画もだめになっちゃった」とマリテスさん。
「私がいるからと、仕事に出る前に夫が農作業への指示を出す。え〜っ! 私一人でやるの」と思いながらも、がんばり屋のマリテスさんは、一人農業に奮闘しました。今までは手伝う程度の農作業を、一人でこなす毎日。「農業で身体中が痛いし、コロナでボランティア活動もできないし、友達にも会えない。この32年の中で一番辛かった」と言います。
新たな出会いは喜び、この休みがあったからと感謝
「でも、悪いことばかりじゃないね」と話し始めたマリテスさん。「うちの山は宝の山。タケノコや山菜がいっぱい」。よかったら採りに来ませんかと声をかけると、すぐに仲間がやってきました。「自分が知らなかった山菜を教えてもらったり、販売先を紹介してもらうこともできました。仕事していたら、持つことができなかった時間と出会いだと思うの」。
世界中を震撼させた新型コロナ。思いがけない一ヶ月を過ごした今、何を思いますかと尋ねると「誰が悪いわけじゃない。誰のせいでもない。自分を守って、自分のやるべきことをやって、常に前向きに進むしかない。転んでも立って歩くだけ。そうすれば、一分でも一秒でも早くコロナに勝てると思う」と応えてくださいました。
この記事は、新型コロナウィルス感染拡大防止対策として、リモートで取材しました。