就業人口減の農業にチャレンジする姉妹(田村市船引町)


 日本の農業問題が取り上げられるニュースや記事が、最近、特に多いと感じませんか。なぜなら、近年の農業就労者減少問題と高齢化は深刻な状況だからです。2022年統計の農業従事者の平均年齢は、68.4歳とかなり高齢で驚きます。一般の会社なら、社員全員が定年退職していることになります。

 そんな農業就労者人口減少が叫ばれている中、田村市船引町に農業法人を営んでいる若い姉妹がいることを知り、話を伺ってきました。
訪れた場所は田村市船引町の北鹿又、田村市立美山小学校のそばでビニールハウスが何棟も並ぶ一角にある事務所。とても綺麗に整理整頓されている事務所だと思いました

 常葉町で農業を営む一家に生まれた過足幸恵さん・富塚あゆみさん姉妹は、幼い頃から農業が大好き。お二人とも「将来は農業をやりたいなと思っていた」そうです。農業法人を立ち上げた時、周囲からは大変心配され、たくさん助言も受けたとか。特に母親から言われた「一度始めたら農業に休日は無いよ」とのアドバイスも「好きなことをやれるのなら当たり前」と、全く気にしなかったと幸恵さん。

 ビニールハウスを建てる土地探しも、広さ、水はけ、日当たり、物流の利便性を考え、二人で現在の土地に決めました。3メートルの土盛りをして平らに整地している時は、「近隣の方々にサッカー場が出来るらしいと噂されていました」と。農業のベテラン達も新しく農業にチャレンジする若者がいることは知らなかったのです。

 好きというだけで始めた農業、経験も無い状態でさらに実家の農地ではなく知らない土地、気候変動や作物の病気など挙げればキリがありませんが、「農業の奥深さを知らないがゆえに覚悟を決めて、構想から現在まで突っ走れた」と幸恵さんは話します。もしスタートが最近ならば資材高騰や部材不足で大変なことになっていたかもしれません。やると決めた2018年に立ち上げた決断は正解です。

 栽培しているのは、ミニトマトやふきのとうです。2023年には新商品開発のためのクラウドファンディングを立ち上げ、見事目標額を達成し、「スィートトマトバター」が新たな目玉商品に。(実際に、後日パンに塗って食べてみたら絶品でした。)

 妹のあゆみさんが出産間近、姉の幸恵さんもすでにお母さんとなっていて、農業を生業としながら子育てを実践しています。「農業の醍醐味は、作ったモノの感想が直に返ってくること」だと言い切る幸恵さん。その一言を聞けば、暑い中の作業や日々の早起きの辛さも、子育ての苦労も、吹き飛ぶそうです。
「このスタイルがモデルケースになれば」と、若い農業従事者とのネットワークづくりにも精力的に活動しています。

GREEN for TABLE
〒963-0922 福島県田村市船引町北鹿又字琵琶石22
TEL:050-5476-0528
Web:https://greenfortable.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/greenfortable/

トップ画像:姉妹で立ち上げた『株式会社GREEN for TABLE』で栽培、商品開発、子育ての三刀流にチャレンジ
右:姉の幸恵さん、左:妹のあゆみさん。

画像:作物は子育てと同じ、手をかけ愛情タップリに育てています

画像:メイン商品はビニールハウスで栽培するミニトマト。甘さとみずみずしさが自慢