▼山村で進む過疎化
地区の多くが国有林に囲まれているいわき市田人町貝泊(かいどまり)。林業が盛んで、生業とする人も多くいました。しかし平成期に入り、市街地まで40分程かかる貝泊は、後継者世代の市街地への居住が増え、地区内の子どもの数が減り、地区内の小中学校存続が危ぶまれる時を迎えました。
▼地区住民全戸で結成した「貝泊コイコイ倶楽部」
2002年2月貝泊小中学校を残したいとの住民の想いから、貝泊地区全戸(60戸)加入の組織「貝泊コイコイ倶楽部」を立ち上げました。移住(田舎暮らし)の呼びかけや山村留学の取組等で、一組の移住(夫婦と子ども2人)もあり、貝泊コイコイ倶楽部では小中学校継続を支えてきました。しかし震災後の2014年、田人地区の小中学校が統合されるにあたり、小中学校生徒それぞれ1人の卒業式を最後に廃校となりました。
▼移住・関係人口を増やす取組
貝泊コイコイ倶楽部では、発足時から移住や交流人口を増やすため、地区の良さを体感してもらいたいと、いくつかの取組を重ねてきました。「地域と地区外者との交流の場として食・農産物直売を行う「山ぼうしの家」や、山村ならではの満天の星空を楽しんでもらうコテージ「星の森」をつくり、貝泊の自然を楽しんでほしいと首都圏の住民に呼び掛けたが、苦戦の連続でした。」会の顧問を務める蛭田一さんは話します。その後都内の大学生などへ呼びかけを行い、徐々にその活動も活発化してきたころに震災が起き、一時貝泊を離れる人もいましたが、活動の歩みは止めませんでした。
▼地域で出来ることを継続
震災後、地区の農産物を活用しようと豆腐製造工房も備えた加工場を建設し、毎週日曜日に「山ぼうしの家・かんぱ~にゅ」で農産物・加工品の販売、野菜・山菜を使った料理を提供していました。しかし、2020年コロナの流行で貝泊に来る人は激減。加工場の活用は中止をしましたが、毎週日曜日の「山ぼうしの家・かんぱ~にゅ」は継続しています。地区世帯は45世帯50人に減り、倶楽部で毎週活動できる人も15人程。高齢化は進むが、特産『役者横丁』大根の栽培体験等も合わせて活動を続けていくそうです。
(2025年4月24日取材S)
■名称 貝泊コイコイ倶楽部
■住所 福島県いわき市田人町貝泊
■URL https://koikoi20248.amebaownd.com/
写真トップ:貝泊コイコイ倶楽部の会員で運営する「山ぼうしの家・ かんぱ~にゅ」 4月~11月頃までの間、毎週日曜日にオープン。地元産の新鮮な野菜の販売とランチの提供をしている。
写真2:「山ぼうしの家・かんぱ~にゅ」の向かいに立つ加工場。地元産大豆で豆腐作りをしていたが、コロナを期に加工作業は止まっている。

写真3:2025年度から代表を継ぐ蛭田和弘さん。これまで繋いできた活動の足を止めずに、続けていきたいと話す。
