霊山町から華ひらかせる「アクリルガラス絵作家」 (伊達市霊山町)

▼新しい技法で挑む

多くの絵画芸術家が、今まで誰もチャレンジしていなかった全く新しい絵画の手法である「アクリルガラス」に絵を描くというジャンルで、今後の絵画界に新しい風を起こす霊山町在住の石川陽一郎さんは、自分自身を「アクリルガラス絵作家」と呼ぶ。しかし、ここに至るまでの道のりは、山あり谷ありの人生だった。

▼画家の父親から勧められたのは

福島県から遠く離れた和歌山県伊都郡に生まれた石川さんは、生まれながらに先天性色弱という絵描きとして生きるには大きなハンデを持っていました。画家の父親は、そんな息子に将来は画家ではなく、「家具職人になれ」と勧めていたそうだ。しかし、その言葉も現在の石川さんにとっては大いに糧となっているので、父親の先見の明と言える。

▼海外留学で得たもの

18歳でイギリスのロンドンへ留学した石川さんだが、絵の勉強というよりは世界を見て、知るため。やがてこの時の経験が現在の画風に大きくプラスの効果となって今に活きている。作品にはヨーロッパの世界観が十分に感じられ、そこに和風の情感が込められている。まさに神秘的で、厳かな荘厳さをあわせ持った新しい絵画の世界を魅せてくれている。

▼福島県に来て感じたこと

2021年、結婚を機に福島県霊山町に移り住んだ時、「私の生まれ育った和歌山県伊都郡に似ている、さらにはヨーロッパの山並みにも似ている」と思ったそうだ。しかし、集中して創作活動するには良い場所でも、人口流出が続いている霊山町でアクリルガラス絵作品を観てもらうには厳しい状況が続いた。

▼父親、そして妻に感謝し、ついに個展開催へ

 そこで内助の功を発揮したのが奥様の恵里さん。土地勘の無い石川さんに代わり福島市内や他地域に作品持参で営業をかけて、ついには6月に福島市内の画廊で個展を開催できることとなった。出展する作品の額縁は石川さんの手作りで額縁の周りには針金を工夫して素敵な模様を描いている。父親が家具職人を勧めたひと言の意味が分かる素晴らしい作品にまたお目にかかりたいと思う。

(2025年3月4日取材Y)

■名称:アトリエ椋の木 アクリルガラス絵作家 石川陽一郎

■URL:Instagram https://www.instagram.com/yoichiron6339/

写真トップ:オーダーメイド作品にはじっくりと依頼者とコミュニケーションを取って、会話内容を反映させた作品の下絵を描く。その後、何度か依頼者と作図のやりとりを重ねてアクリルガラスの裏側からカッターで描いていく。

写真2:霊山町掛田のアトリエで作業中の石川さん。昨年は福島の夏の暑さに身体は相当堪えたそうだ。最近は体調も復活し、6月開催の個展に向けて精力的に創作活動に邁進している。

写真3:和歌山での創作活動時代の作風、福島に来た頃の作風、現在の作風と日々変わってきていると話す石川さん。今後は、霊山町の子どもたちに芸術に触れる機会を作ってあげたいと語ってくれた。