山木屋地区(川俣町)の復興拠点『とんやの郷』を訪ねました


オープンからまもなく1年
スーパー並の食材提供や行政サービスも

 山木屋地区の中心部を走る国道114号沿い、福島—浪江間のほぼ中間点の山木屋郵便局の隣に建設された『とんやの郷』は、2017年7月1日にオープンしましました。
 まもなく一年を迎えようとしていますが、この間5万人以上(2018年2月現在)が利用しています。新たにオープンした道の駅などと比較すると、利用者数が少なく感じるかもしれませんが、この数字はレジを通過した数字であるため、実際には家族連れやグループでの利用も多いので、実際にはもっと多くの来場者数であると思われます。敷地面積は約7150平方メートルで、道の駅並みの駐車スペースも確保されています。

 この施設は、帰還者の生活維持とコミュニティ再生の役割も担っています。施設内に設けられた小売店では、コメや野菜、果物などの食材、加工食品や弁当、日用品に加え、町の土産品など約600品目を扱っています。「一見コンビニのような小売店ですが、価格はスーパー並。帰還した住民や建設業者などが利用し、一定程度の売上げは確保しています」と施設長の大内浩史さん。住民サービスの一環でしょう。

 食堂では、特産の川俣シャモを使った親子丼や定食などを提供。「朝市やイベントなど地域住民の皆さんの交流、町内外の人たちとの交流に使ってもらいたい」という多目的ホールや広場、住民票をとることができる行政サービスコーナーも設置されています。「フリースペースは、隣の家にお茶を飲みに出かけるような気軽さ、そういう使い方をしてほしいと思っています。行政コーナーがあるせいか、用事がないと入っちゃいけないと誤解されてる方もいるんですよ」と苦笑いの大内さん「住民に敷居が高いと感じさせないよう工夫中です」とも。

望まれる住民主体のコミュニティ再生
 とんやの郷を目指して車を走らせた国道114号線。帰還が進む山木屋地区は、以前と比べるとどこか明るく、息づかいも感じられます。うまく表現することは難しいけれど、人がいる、生活していることがもたらす呼吸感でしょうか。
 「地元のNPOさんに管理業務を委託し、地元の方が常駐するようなシステムになれば、隣の家にお茶のみに行くような気軽さで利用してもらえるのではないかと考えます。この地区では、回覧板を持って行くのも、回覧板を回すことが目的というより、お茶をのみながらおしゃべりするついでに回覧板を持って行くような感覚でした。7年の時を経て足腰も弱り、隣家も遠くなってしまった今、集う場所として大いに利用してほしい」と施設長の大内さん。「できることから始めようとバンドの練習やその発表の場としての利用も始まりました。住民主体の利用を促進して行きたいです」と職員の斎藤真輝さん。
 にぎわいを取り戻す挑戦は、これからが本番。さまざまなイベントなどの企画もありそうです。機会を作ってぜひ、とんやの郷を訪れてはいかがでしょう。

◆行政サービスコーナー・情報発信コーナーの開館日および時間

月曜~金曜 午前8時30分~午後5時15分まで(祝日、※年末年始は除く)
 
電話024-563-2021
◆食堂の開館日および時間

月曜~土曜 午前11時~午後2時まで(※年末年始は除く)
 
電話024-529-6339
◆小売店・多目的ホールの開館および時間

月曜~日曜 午前10時~午後6時まで(※年末年始は除く)
 電話024-573-8990
  ※トイレと自動販売機は終日使用可能です。

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